そこに一歩足を踏み入れると今まで見たこともない光景を目のあたりにする。海底から噴きあがったマグマにより出来た海抜1000メートルを越す火山。山腹を黒い玄武岩の筋が無数に流れている。つい最近冷え固まったような錯覚を起こす。
海岸では打ちつける波が轟音とともに吹き上げる巨大な潮柱。青い海を写したような水かきを持つアオシカツオドリが近づく人をものともせず足を広げくちばしで天を指す。この島の動物たちは、天敵のいない環境の中、人を恐れぬ習性を身につけている。
人目を気にすることなく愛を育む体重250キロのガラパゴスゾウガメ。
体を黄色く染めた体長1メートル半近くあるリクイグアナが好物の草木を食べながらこっちを睨んでいる。
真っ白い砂浜の上にはたくさんのガラパゴスアシカの家族がお昼寝。真っ赤な喉袋をいっぱいに膨らませたオオグンカンドリの雄が上空を舞う雌にむけ求愛を行う。
やがて暮れていく夕焼けに枝によじ登ったウミイグアナのシルエットが浮かび上がる。この島の時間はゆっくりと流れ行く。
現在、ユネスコ世界遺産自然の部一号のガラパゴス諸島は危機に直面している。100年以上も前に入植たちによって持ち込まれた野生化したヤギなどによる固有生物の生息環境の破壊、1997~99年にエルニーニョ現象による環境異変2001年大型タンカー座礁石油流出事故、観光開発など人間による環境破壊にも脅かされる。そして2005年10月25日、ガラパゴス諸島最大の島イザベラ島にあるシェラネグラ火山が噴火。大量に流れ出している溶岩が動植物に及ぼす影響が懸念されている。
この「進化論」ガラパゴス諸島はわれわれ人類すべての財産でもある。(GALAPAGOS)がいつまでも楽園であるよう地球の裏側から祈り続けたい。